毎日ターミナルを開く。
history | grep を打って、3週間前に使ったコマンドを必死に探す。あのオプション何だったっけ、と10分悩む。エラーメッセージをコピーしてブラウザに貼る。ChatGPTで聞いて、答えを持ってきてまたターミナルに貼る。
この往復、何往復やってきたか数えたくもないです。
2026年、この作業の仕方は変わりました。
ターミナルにAIが入ってきたからです。コマンドを手で打ち込む場所ではなくなりました。AIに話しかけると、ファイルを開き、コードを書き、エラーを修正し、Gitにコミットする。そういうことが、コマンドライン上で完結するようになっています。
私が実際に試してみて手放せなくなったAI搭載のCLIツールを7つ紹介します。インストールコマンドも全部載せます。
1. Aider — 複数ファイルを横断して直してくれるAI
Aiderがほかのツールと違うのは、チャットではなくファイルを直接編集するところです。
「この関数をJWT認証に書き直して」と言うと、関連する5つのファイルを開いて修正し、説明付きのGitコミットまで自動で作ります。コーヒーを飲んでいる間に終わります。
GPT-4o、Claude 3.7 Sonnet、DeepSeekなど主要なモデルに対応しています。Ollama経由でローカルモデルも使えます。音声でコードの指示を出す「Voice-to-Code」機能もあります。
python -m pip install aider-install aider-install # プロジェクトのディレクトリに移動 cd /your/project # Claude 3.7 Sonnetで起動する場合 aider --model sonnet --api-key anthropic=<your-key> # DeepSeekで起動する場合 aider --model deepseek --api-key deepseek=<your-key> # o3-miniで起動する場合 aider --model o3-mini --api-key openai=<your-key>
複数ファイルにまたがるリファクタリングが多い人は、まずここから試してみてください。
2. Gemini CLI — 無料でここまでできるのかというGoogle製エージェント
Gemini 3 FlashとProにターミナルから直接アクセスできます。
質問に答えるだけでなく、コマンドを実行したり、ファイルシステムを探索したり、エラーをその場で修正したりする動きをします。GoogleのVideo Generation(動画生成)、Deep Research、Notebook LMといったAIツールとも連携できます。
npmで入れるだけです。
npm install -g @google/gemini-cli
無料枠の範囲でAIエージェントを試したい場合、現時点で最も手軽な入口の一つです。有料サービスを契約する前に、まずこれで感触をつかむのもありです。
3. Atuin — 「あのコマンドなんだっけ」を永久に卒業する
history | grep に頼っている間は、検索できるのはコマンドの文字列だけです。
Atuinはシェル履歴をSQLiteデータベースに保存して、複数のマシン間で同期します。2026年のバージョンからはセマンティック検索が使えるようになりました。オプション名を覚えていなくても「ファイルを再帰的に検索したとき」「先月のDockerビルドのやつ」という意図で過去のコマンドを引き出せます。
curl --proto '=https' --tlsv1.2 -LsSf https://setup.atuin.sh | sh
インストールして既存の履歴を読み込めば、今日からすぐ使えます。「同じコマンドを何度も調べている」という感覚がある人は試してみてください。
4. ShellGPT (sgpt) — ブラウザとターミナルの往復をやめる
ShellGPTはAiderほど大掛かりなものは要らない。ちょっとAIに聞きたいだけ。そういうときのツールです。
ログファイルをパイプで渡して「このエラーを説明して」と聞けます。シェルスクリプトをその場で生成させることもできます。ステージングしている変更からgitのコミットメッセージを自動で作る機能もあります。
pip install shell-gpt # エラーログをパイプで渡して説明させる cat error.log | sgpt "このエラーを日本語で説明して" # コマンドを生成して実行 sgpt --shell "/var/log以下の大きいファイルを探して"
「ちょっと聞くだけでブラウザを開くのが面倒」という場面が、思ったよりたくさんあることに気づきます。
5. Warp — ターミナルアプリそのものを替える選択肢
ツールを追加するより、ターミナルアプリ自体を変えてしまうという考え方です。私は何かターミナルで作業するとき、このツールを最も愛用しています。
WarpはモダンなUIとコード編集機能を組み合わせたターミナルです。Warp専用のAIエージェント「Oz」が内蔵されています。Claude Code、Codex、Gemini CLIなど外部のAIエージェントをWarp上で実行することもできます。個人利用は無料で、月に一定量のAIリクエストが使えます。
「ターミナル自体が使いにくい」と感じている人には、新しいツールを入れるより先にこっちを試した方が早いかもしれません。
6. Goose — プロジェクトごと任せられるオープンソースエージェント
Gooseはコードの提案だけでなく、プロジェクトをゼロから作り、コードを書いて実行し、失敗したらデバッグし、外部APIと連携するところまで自律的に動きます。
どのLLMでも使えます。マルチモデル設定(タスクの重さでモデルを使い分ける)にも対応しています。MCPサーバーとの統合もできます。デスクトップアプリとCLIの両方があります。
brew install block-goose-cli
「エージェントにどこまで任せられるか試したい」という人は、ここから始めるのがわかりやすいです。
7. OpenCode — コードをクラウドに送れない場合の選択肢
業務の都合でコードを外部サーバーに送れないことがあります。OpenCodeはそういう場面で使えます。
75種類以上のLLMプロバイダーを切り替えられます。完全ローカルで動くモデルにも対応しています。特定のベンダーに縛られずにAIエージェントを使いたい人向けです。
# macOS / Linux(常に最新版が入るのでこちらを推奨) brew install anomalyco/tap/opencode # npmで入れる場合 npm i -g opencode-ai@latest # スクリプトで一発インストール curl -fsSL https://opencode.ai/install | bash
セキュリティポリシーが厳しい環境でも使えるのが実用的なポイントです。
どれから始めるか
全部入れる必要はありません。
Atuinはインストールするだけで今日から使えます。既存のシェル履歴がそのまま検索しやすくなります。何かを覚え直す必要がなく、失うものもないです。まず試すならここです。
ShellGPTはpipで入れてすぐ動きます。ブラウザとターミナルを行き来する習慣を少しずつ減らせます。
Aiderはコードを書いている人向けです。複数ファイルにまたがる修正が多いほど効果が出ます。
GooseとOpenCodeはもう一段踏み込んだエージェント体験を試したいときに。
毎週新しいAIツールが出てきます。全部追いかけると消耗します。この7つの中から1つだけ選んで、まず手を動かしてみてください。
TL;DR
- Aider:ターミナル上のAIペアプログラマー。複数ファイルを直接編集しGitコミットまで自動化
- Gemini CLI:Google製エージェント型シェル。無料枠が手厚く、Google AIサービスと連携可能
- Atuin:シェル履歴をSQLiteで管理。意図で検索できるセマンティック検索が使える
- ShellGPT:軽量なAI連携ツール。ログ解析、コマンド生成、コミットメッセージ生成に使う
- Warp:AI前提で設計されたターミナルアプリ。個人利用は無料
- Goose:オープンソースのAIエージェント。プロジェクトをゼロから丸ごと任せられる
- OpenCode:75種類以上のLLMに対応。コードをクラウドに送れない環境向け
パイソンエンジニア部